「搾乳バイト→オンライン授業」はコロナ禍の希望の光になるか。

今回インタビューしたのは、11月下旬から2カ月半の間、搾乳アルバイトに来てくれた2人の男子学生です。大樹小・中学校の同級生という彼らは昨年春に高校を卒業し、それぞれ道内の大学や専門学校に進学しました。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で、入学式も満足に行えないまま休校に。数カ月後、学校はオンライン授業により再開しましたが、思い描いていた学生生活とは程遠い状況でした。

そんな中彼らが選んだのは「日昭牧場で搾乳アルバイトをした後にオンライン授業を受ける」という新しいスタイル。一体どのような思いで働き、どのようなことを感じたのでしょうか。また日昭牧場にどんな影響をもたらしたのでしょうか。学校再開によるアルバイト終了を記念して、詳しく聞いてみました!

中学校卒業後からの進路と現在の状況を教えてください

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左:松久碧さん(19) 右:武藤凌平さん(19

松久:
実家が農家ではないんですが、農業に興味があったので帯広農業高校に進学しました。「将来は新規就農したい」という夢があるので、大学は酪農学園大学(江別市)に進学しました。高校は農業科で牛の世話はしたことがなかったので、大学でいよいよ酪農について学べると思っていた矢先にコロナで休校です。入学式もちゃんとしたのはなかったし、もちろん授業も実習も全くありません。途中からオンライン授業が始まりましたが、11時間とかで、満足のいく授業数ではなかったんですね。ちょうど畑シーズンだったこともあって、十勝の畑作農家の友達の家で畑作業のバイトをしながら授業を受けていました。

武藤:
小学校からサッカーをしていてクラブチームにも所属していました。その流れで強豪校の帯広北高校に入学して、農業とは全く関係のない札幌の専門学校に進学しました。僕の場合はなんとか対面授業もあったんですが、感染拡大などで11月からオンライン授業になったんです。それなら札幌にいなくてもいいやと思って、実家に帰ってくることにしました。

日昭牧場でアルバイトをしようと思ったきっかけは?

松久:
10月で畑作シーズンが終わるので次を考えていたとき、日昭牧場が搾乳アルバイトを募集していると新聞の折り込みチラシで知りました。時給が高かった(笑)のと、時間的に朝の搾乳後にオンライン授業が受講できることがわかり「これだ!」と。

武藤:
「実家にいるなら一緒にやろう」と連絡が来たんです。家は農家ではないし、酪農の仕事もしたことがなかったんですが、一次産業に興味があって体を動かすのは全く苦じゃないのですぐにOKしました。授業が9時から16時半までなので普通のバイトは難しいと思ってたんですが、ここでは搾乳が朝8時に終わるので大丈夫でした。まあ授業中に眠くなるのがちょっと大変ですけど(笑)。

日昭牧場での仕事内容や働いた感想を教えてください

松久:
2時半過ぎから8時ごろまで、搾乳作業ですね。初日は1人に1人ずつ、社員の人がつきっきりで教えてくれました。その後も丁寧に見てくれて、不安なことは全くなかったです。おかげで大きな失敗もなかったと思います。早起きはすぐに慣れたので苦じゃなかったです。

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大学1年生にして大型特殊免許所持。即戦力です。

武藤:
全く初めての作業ばかりでしたが、やってみると結構大丈夫だなと。やっぱり体験しないと分からないので、興味持ったら一度やってみるのは大事だと思いました。
搾乳作業が慣れてくると他の仕事にも興味が出てきて、授業のない日や土日の昼間もバイトに入らせてもらいました。その時は牛舎の掃除や子牛の哺乳、牛の移動などを行いました。いろんな作業があって面白かったですけど、昼間の仕事の方がだいぶ体力使いますね。

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子牛がかわいいと話す武藤さん。

武藤:
二人だったので、それぞれが得意な作業を融通しあって楽しく働けたのがよかったです。最初は注意されることもあったけど、できると認めてもらえるのでやりがいもありました。ちゃんと見てもらえているのがうれしかったです。

松久:
大学で学ぶ前に本当の牧場で働けてすごく勉強になりました。これからの授業で理解がより深まると思います。あと、みなさん気軽に声を掛けてくれるので居心地よかったです。

若い人が入ると牧場全体が活気づく!

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教育を担当した岩岡将人さん(左)からのメッセージです。

岩岡:
2人共、すごく向上心があって驚きました。自ら『朝の搾乳だけでなく、学校が休みの時には昼間も働きたい』と言ったり、少し手が空くと『何かすることはありますか?』と聞いてきたり。吸収力もあって、一度教えたらすぐに覚えるのも感心しました。とにかく積極的なので、こちらも『これも教えてあげたい』という気持ちになります。本当によく働くので既にスタッフの一員ですよ。何より若い人が入ることで、牧場全体が明るくなるし活気づきますね。いい影響がたくさんあったので、夏休みにはまた来てほしいと思います。作業用の長靴は置いておくからね!

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「日昭牧場で搾乳バイトの後にオンライン授業を受けている学生がいる」と初めて聞いたとき、真っ先に「すごい、新しい!」とワクワクしました。コロナ禍で暗いニュースが多い中、自ら新しい学び方や働き方を生み出した彼らの姿はまぶしく、世の中を明るく照らす「未来への希望の光」に思えます。2人の今後の活躍に期待します!

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