牛の爪切り「削蹄(さくてい)」って知ってますか?

突然ですが皆さん、牛の削蹄(さくてい)という言葉を聞いたことありますか?
削蹄とは、牛の蹄(ひづめ=人でいう爪)を定期的に切って、形を整えることを言います。家畜である牛は野生動物と違って運動量が少なく地面での摩耗もあまりないので、手入れをしてあげる必要があります。

よく似た言葉で「装蹄」がありますが、こちらは馬の蹄を整えること。馬は蹄鉄をはかせるので「装蹄」、牛は爪を削るので「削蹄」といい、どちらも専門的な仕事です。削蹄をする人のことを「削蹄師」といいます。

牛の蹄が伸びたままだと歩きにくくストレスの元となり、怪我や病気になりやすいのです。ひいては乳量や乳質、繁殖にも影響が出るため、削蹄が必要というわけです。ちなみに日昭牧場では年3回行っています。

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削蹄を待つ牛

削蹄のプロ集団

日昭牧場が削蹄をお願いしているのは、220km以上離れた中標津町から来てくれる「佐々木削蹄社」さん。もう10年近いお付き合いになります。佐々木削蹄社さんは全道各地の牧場を飛び回っている、削蹄のプロ集団。特徴は何と言ってもメガファームに対応してくれること!

佐々木雅治社長を始め6人のチームで、アメリカ製の油圧式削蹄枠を2台同時に使って1日に200頭、3日間かけて約600頭の削蹄をしていきます!この日は残暑厳しい真夏日。かなり過酷な仕事です。

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削蹄枠に入った牛。お腹にかけたベルトで体を浮かせています。

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飛び散っている白いものは蹄です。

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グラインダーで蹄を削っていきます。このほか、蹄刀(ていとう)とよばれるナイフ状のものも使います。

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佐々木社長は後足担当。前足に比べ、後足のほうが病気などのトラブルが多いため、ベテランが担当します。とはいえ前足を担当しているスタッフだってこの道10年なんですから、削蹄師の奥の深さがわかります。

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削蹄枠で体を浮かせて前足・後足を同時に削蹄します。1頭にかかる時間はわずか3分!牛にストレスを感じさせないためですが、1頭1頭違う蹄の状態や特徴を瞬時に見極め、最適な形に仕上げる熟練の技が必要です。しかしそのスピード感を感じさせないほど、丁寧に仕上げているのが驚きです。
たまに血が出たり治療を行ったりする牛もいますが、そんなときには包帯係が素早く止血・包帯を巻いていきます。ここにもスピード感!
「ちょっと歩きづらそうにしていた牛が、削蹄後にスタスタ歩く姿を見るとやりがいを感じます」とスタッフの方。効果が目に見えてわかるとうれしいですよね。

日昭牧場の牛ってどうですか?

さまざまな牧場を回っている佐々木社長に、日昭牧場の牛の状態について聞いてみると「全道、たぶん全国でもトップクラスのクオリティだね、間違いなく」ときっぱり。
なんてうれしい言葉!

聞いてみると、日昭牧場には蹄に問題を抱えた牛や病気の牛が極端に少ないのだといいます。それは「牛にとってよい環境を常に考え、日々整えているからに違いない」とのこと。
そしてさらに「人もクオリティが高い。働いている姿を見ているとわかる。何よりみんないい人なんだよね~」とにっこり。

牛ばかりか人も褒められてこちらもにっこりです。ありがとうございます!
次もまたよろしくお願いします!